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2026/01/28 16:50~2026/01/28 18:35

生物科学セミナー 第1536回/Biological Science Seminar 第1536回

減数分裂は体細胞分裂の細胞周期の機構を転用しながらも、減数分裂仕様の染色体構造が再構成されるようにプログラムされている。また卵子・精子の生殖発生過程に組み込まれた減数分裂のプログラムは、雌雄で異なる制御様式を示すことも知られる。精巣ではほぼ生涯にわたって断続的に減数分裂が繰り返されるのに対して、卵巣では胎児期の限定された時期に減数分裂が開始されることも特徴である。我々は、減数分裂と体細胞分裂との違いを決定する本質的なメカニズムを理解するために、(1) 減数分裂仕様の染色体構造[1-5] 、(2)減数分裂型の細胞周期制御[6-8]、(3)減数分裂と生殖発生プログラムとの連携[11-14]、3つの角度から研究を推進している。体細胞分裂から減数分裂への切替えが何によって制御されているのかという問題は、生物学の基本問題でありながら種を問わず長年の懸案とされていた。最近我々は、マウス生殖細胞より体細胞分裂から減数分裂への切替えを担う新規の核内タンパク質MEIOSIN (Meiosis Initiator)を精製・同定した[7]。MEIOSINは減数分裂関連遺伝子の転写の発火に働いて、体細胞分裂から減数分裂へのスイッチに決定的役割を果たしていることを明らかにした。本研究はこれまで国際的にも攻め倦んでいた生殖細胞の体細胞分裂から減数分裂への切替え機構の問題を世界に先駆けて明らかにしたに留まらず、“生殖細胞の分化”と“減数分裂のプログラム”は遺伝学的に分離されるプロセスであること、さらに雌雄で異なる制御のメカニズムがあること[8]を初めて示した。さらに減数分裂開始因子MEIOSINの下流で働く標的遺伝子の発見により、減数分裂仕様の染色体構造の制御や生殖発生の遺伝子発現制御に必須の機能を果たす新規の因子を複数同定した[9-14]。本セミナーでは、減数分裂と体細胞分裂との違いを決定するメカニズムについて、最近の我々の研究成果を紹介する。

📍 理学部2号館講堂