BEGIN:VCALENDAR VERSION:2.0 PRODID:-//chikkutakku.com//RDFCal 1.0//EN X-WR-CALDESC:GoogleカレンダーやiCalendar形式情報を共有シェ アしましょう。近所のイベントから全国のイベントま で今日のイベント検索やスケジュールを決めるならち っくたっく X-WR-CALNAME:ちっくたっく X-WR-TIMEZONE:UTC BEGIN:VEVENT SUMMARY:生物科学セミナー 第1531回/Biological Science Seminar 第 1531回 DTSTART;VALUE=DATE-TIME:20251210T075000Z DTEND;VALUE=DATE-TIME:20251210T093500Z UID:197024847511 DESCRIPTION:\n植物が遺伝的多様性を維持する戦略の一つに 、雄花(♂)と雌花(♀)を別々の個体に分ける「雌 雄異株化」がある。雌雄異株植物の多くは性染色体を もち、XY型の場合には、Y染色体にオスを決定する遺伝 子が存在する。性染色体は、もともとは1対の常染色体 から進化したものであり、時間とともにY染色体の分化 が進行し、X染色体とY染色体の大きさや構造が異なる「 異形性染色体」へと進化した。ナデシコ科の草本植物 ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)は、異形性染色体を もつ植物の典型例として古くから研究対象となってき た。Y染色体には約500 Mbに及ぶ大規模な組換え抑制領域 が存在することから、性決定遺伝子の同定は長年にわ たり困難とされてきた。私たちは、重イオンビームに よる突然変異誘発を用いてこの巨大Y染色体を詳細に解 析し、雌ずいの発達を抑制する性決定遺伝子(Gynoecium S uppressing Function on Y:GSFY)を同定した。GSFYは、シロイヌ ナズナにおいて雌ずいの矮小化に関与するCLAVATA3遺伝子 のオーソログであることが判明した。また、性染色体 の進化過程において、X染色体ではCLAVATA3オーソログの 機能喪失が生じ、Y染色体からは雌ずいの発達を促進す るWUSCHELオーソログが失われていたことも明らかとなっ た。これらの知見は、これまで未知であったX染色体の 性決定への関与を示唆する初の証拠である。さらに、GS FYはSilene属が誕生する過程で遺伝子重複によって出現し 、その後、Silene属全体にわたって保存されてきたこと が明らかとなった。しかしながら、700種を超えるとさ れるSilene属の中で、GSFYが性決定遺伝子として実際に機 能しているのは、S. latifoliaとその近縁4種のわずか5種に とどまる。このことは、GSFYが保持されていても性決定 遺伝子としての役割を果たすには特定の条件が必要で あることを示唆している。本セミナーでは、GSFYが性決 定遺伝子として機能するための条件についても、最近 の研究成果を交えて紹介する予定である。参考文献1. Ka zama Y. et al. (2022) A CLAVATA3-like gene acts as a gynoecium suppression function in White campion. Mol.Biol.Evol. 9\, msac1952. Kazama Y. et al. (2023) Evolution of sex‐determination in dioecious plants: From active Y to X/A balance?. BioEssays 45\, 2300111\n\n LOCATION:理学部2号館223号室及びZoom END:VEVENT END:VCALENDAR