BEGIN:VCALENDAR VERSION:2.0 PRODID:-//chikkutakku.com//RDFCal 1.0//EN X-WR-CALDESC:GoogleカレンダーやiCalendar形式情報を共有シェ アしましょう。近所のイベントから全国のイベントま で今日のイベント検索やスケジュールを決めるならち っくたっく X-WR-CALNAME:ちっくたっく X-WR-TIMEZONE:UTC BEGIN:VEVENT SUMMARY:生物科学セミナー 第1529回/Biological Science Seminar 第 1529回 DTSTART;VALUE=DATE-TIME:20251112T075000Z DTEND;VALUE=DATE-TIME:20251112T093500Z UID:650017285058 DESCRIPTION:\n動物媒花は、花粉を運ぶ動物すなわちポリネ ーターとの相互作用を通じ、多様な形質を進化させて きた。こうした観点から花の進化を探る研究では「花 は複数のポリネーターに同時には適応できない」とい うトレードオフの前提に基づき、花の進化は特定のポ リネーターへの適応つまり特殊化へ向かう、と考える ことが多い。実際、特定のポリネーターへの適応を想 起させる形質の組合せをもつ花は自然界に多くみられ 、送粉シンドロームと呼ばれている。しかし近年の研 究で、こうした花にも実際には多種多様な動物が訪れ 、しばしば送粉に貢献していることがわかってきた。 複数のポリネーターに送粉をまかせる花では、繁殖失 敗のリスクは減るかもしれない。しかし一方で、異な るポリネーターの行動や形態が引き起こすトレードオ フによって、花の適応度はかえって低下してしまうの ではないか?さらに、異なるポリネーターによる拮抗 的な淘汰圧の下で、シンドロームのような特徴的な形 質の組合せが維持されているのは、いったいどのよう なしくみによるのだろう? これらの疑問への答えは、 まだ十分に得られていない。 大橋ら(2021)は、分断 淘汰をもたらすほどの強いトレードオフが、特定のポ リネーターが独占的に訪れる花でしか報告されていな い事実をヒントに、花はトレードオフを進化的に緩和 することによって異なるポリネーターに同時に適応で きる、という仮説を提唱した。本セミナーでは、この 「トレードオフ緩和」という視点から、広範な分類群 の花でみられる花色変化、密集花序、夕方開花といっ た表現型収斂が、特定のポリネーターへの適応的特殊 化ではなく、特定のポリネーター群集への同時適応、 つまり適応的一般化の結果として進化した「シンドロ ーム」である可能性を示す。さらに、一見すると特定 のポリネーターに特殊化しているように見える花であ っても、副次的なポリネーターがしばしば訪れている という観察事実から、すべての動物媒花は、種数が異 なるポリネーター群集に対する同時適応の産物とみな せる可能性を指摘する。そして最後に、こうした考え に基づき、送粉シンドロームのような表現型収斂は、 (1)主要なポリネーターによる貢献の質や量を「改善 する」形質、(2)相対的に効率の低いポリネーターを 「排除する」形質、(3)同時に利用するポリネーター 間のトレードオフが緩和されるように形質と適応度の 関係を「修飾する」形質、という3種類の機能形質の 、特定のポリネーター群集に対する最適な組合せとし て進化し、維持されているのではないか、という新た な仮説を提唱する。参考文献Ohashi\, K.\, Jürgens\, A.\, and T homson\, J. D. (2021) Trade‐off mitigation: a conceptual framework for u nderstanding floral adaptation in multispecies interactions. Biological Re views 96: 2258-2280.\n\n LOCATION:理学部2号館223号室及びZoom END:VEVENT END:VCALENDAR