本日 2025年8月18日(月) 17:00 Etc/GMT-8

2025/09/12~2025/09/14

中国古典小説研究会 2025年度大会(2025年9月13日(土)午後・14日(日)午前・午後、対面とオンライン配信の併用、東京大学本郷キャンパス 国際学術総合研究棟内 文学部3番大教室)

研究会情報です。●公式サイトはこちらhttps://zgxy.main.jp/taikai/2025.html#taikai--------------------※詳細は上記サイトをご確認ください。■2025年度大会■日時:2025年9月13日(土)午後・14日(日)午前・午後開催形式:対面とオンライン配信の併用(アクセス方法に関しては別途送信しますメールによる案内をご参照ください)対面会場:東京大学本郷キャンパス 国際学術総合研究棟内 文学部3番大教室9月13日(土)は会員限定、14日(日)特別企画は一般公開にて実施します。大会プログラム【会員限定】〔第1日〕9月13日(土) ●12:30- 研究発表【会員限定】12:00-12:30  開場・受付12:30-13:00  自己紹介・近況報告研究発表13:00-13:50  李欣霜(金沢大学大学院)「毛宗崗と『琵琶記』の評語」  清の毛宗崗が添削した『毛宗崗批評三国志演義』評語には異民族の登場人物、特に異民族の女性武将に強烈な差別意識が読み取れる。また、毛宗崗は失明した父親である毛綸を手伝って、『第七才子書』(『琵琶記』)の評語を書き記している。それでは、『第七才子書』(『琵琶記』)の成立に参画した毛宗崗は父親の毛綸にどのように影響されたのかというのが問題になる。特に、『琵琶記』の評語に見える父親毛綸の道徳観や女性観は息子の毛宗崗にどのような影響を与えたのであろうか。本発表では、まず、毛綸によって評語をつけられた『琵琶記』に関わる先行研究の概況を述べる。それを踏まえて『琵琶記』の評語を整理・分析し、『琵琶記』の評語で毛綸が強調しようとしたもの、特に、女性にどのような道徳的な規範を求めるのか、毛綸の『琵琶記』の評語と毛宗崗の『三国志演義』の評語との共通点を比較検討しながら、毛父子の女性観、道徳観、及び小説理論に迫る。13:50-14:00 休憩(10分)14:00-14:50  大賀晶子(京都府立大学非常勤講師)「白話小説のマクラと『水滸傳』」 石渠閣本『水滸傳』の序文に、百回本の成立当初、各回の冒頭には講釈のマクラのような部分があったが、嘉靖年間に郭勛が重刻した際にこの「致語」は削除され「本傳」のみが残った、という伝聞が記されている。同様の記述は他の複数の文献にも見られる。従来の研究では、独 立した物語をそなえたいわゆるマクラが長篇の毎回冒頭についていたとは信じがたいとして否定するか、あるいは「致語」の意味を回頭の詩詞を指すものと解釈することが多かった。本発表では、これらの記述について再検討を試みる。百回本『水滸傳』には、回頭の詩詞の後、本筋再開の前に語り手によるコメントがある例がいくつか見られる。この部分に、削除された「致語」の痕跡を見いだすことは可能であろうか。そこでまず短篇白話小説のマクラについて、「清平山堂話本」「熊龍峯四種小説」および「三言二拍」を対象に、先行研究をふまえつつその形式・内容・用語などを改めて整理する。そのうえで、古い『水滸傳』に実際にマクラがついていた可能性について考察する。14:50-15:40  尾崎勤(京都府立大学共同研究員)「『封神演義』の人物図集『封神真形図』とその旧蔵者沈能毅について」  台湾・国家図書館に『封神真形図』と題する『封神演義』の人物図集が蔵される。白描画。2冊、全50葉50幅。上半葉に人物 1 名の図を描き、下半葉は多く空白だが、『封神演義』の詩を摘録する葉も少しある。款識や題跋はないので、作者も成立時期もわからない。乾隆から光緒にかけて刊行された『封神演義』の木版本数種(十九巻本の重刊本)に冠される人物図と共通する図柄が多い。しからば『真形図』は『封神演義』の版本の図の下絵なのか。それとも好事家が版本の図を模写したものに過ぎないのか。『真形図』には沈能毅なる人物の蔵書印が押されている。沈能毅とは何者か。浙江桐郷の人で、初め上海のジャーナリストだったが、のち官に転じ、張学良の秘書や北平財政部印刷局局長を務めた。1938 年、日本の傀儡政権である南京維新政府に出仕して、実業部次長の職に就いた。翌年罷免されたが、その後も民間で対日協力を続け、1944 年ごろ、死去したと思われる。つまり民国期の人であり、『真形図』の成立時期を限定する役には立たない。ただ沈能毅に関して重要なのは、彼の兄が著名な漫画家、沈泊塵(1889-1920)だったことである。すると『真形図』は泊塵が描いたのではないか、という疑いが起こるが、書風は異なるので、その可能性はいちおう退けられる。『真形図』の成立時期を知る手掛かりは下半葉の詩にある。これは『封神演義』から摘録したものだから、詩の字句の異同を調べれば、『真形図』が拠った版本を特定できるのではないか。果たして『真形図』の詩は人物図を冠する十九巻本の重刊本(乾隆 47 年刊・呉郡崇徳書院蔵板本)よりも、場面図を冠する最後の版本である十九巻本の原刊本(刊年未記載)のほうが近かった。『真形図』は人物図を冠する『封神演義』の版本に先行し、その下絵だった可能性が俄然高まった。ただし人物図を冠する版本として最古の乾隆 34 年・致和堂刊本を確認できていないので、最終的な結論はまだ出せない。15:40-15:50 休憩(10分)15:50-16:40  郡司祐弥(一橋大学博士研究員)「鈴木真海の翻訳文体と規範意識----漢文叢書の口語体化と読者層の広がり」 大正時代以降、『支那文学大綱』『和訳漢文叢書』『新訳漢文叢書』『国訳漢文大成』『支那文学大観』などのいわゆる漢文叢書が盛んに刊行された。これらは従来、「Literature」としての漢文の確立に果たした役割も含め、『国訳漢文大成』から『支那文学大観』へという流れや、白話小説受容史という流れから論じられてきた。本発表では、その漢文叢書類の編者のうち、『支那文献叢書』(1925)や『国訳本草綱目』(1929-1932)をてがけた僧侶・新聞記者の鈴木真海(1888-1959)による翻訳文体の特徴を分析し、かつその文体観の由来について、師である新聞記者や独特な漢文読解方法から考察する。それにより、漢文叢書史や白話小説受容史のなかでも画期とされる大正末期~昭和初期における、鈴木による「わかりやすさ」の追求や口語体認識などの重要性を示し、「支那」という国別カテゴリに再編成(他者化)されていく漢文脈の一端を明らかにする。16:40-17:30  桜木陽子(関西大学非常勤講師) 「スーパー歌舞伎『新・三国志』をどう位置づけるか」(仮題) 二代目市川猿翁(三代目市川猿之助 1939-2023)が創設したスーパー歌舞伎のうち、1999年初演の『新・三国志』は、その後に『新・三国志Ⅱ 孔明篇』『新・三国志Ⅲ 完結篇』と、スーパー歌舞伎唯一のシリーズものに発展し、『ヤマトタケル』につぐスーパー歌舞伎の代表作である。歌舞伎公演に新作が多くなった現在、スーパー歌舞伎は令和の新作歌舞伎にも大きな影響を与えている。『新・三国志』はシリーズ観客動員数が百万人を超える大ヒット作であり、四代目市川猿之助も 2022 年歌舞伎座と 2023 年博多座で『新・三国志 関羽篇』として再演している。しかしその内容には戸惑いを覚えた三国志ファンも多かったのではなかろうか。本発表では、このスーパー歌舞伎『新・三国志』を構成する諸要素について分析をおこない、スーパー歌舞伎『新・三国志』を三国志文化の中にどう位置づけるべきかを検討していきたい。17:30-18:00 総会18:30- 懇親会〔第2日〕9月14日(日)午前 特別企画①【一般公開】2025年度大会特別企画① 小松謙『熱狂する明代  中国「四大奇書」の誕生』(KADOKAWA,2024)合評会一般参加者向け申し込みフォーム9:00-9:30 開場・受付9:30-9:35  開会あいさつ・趣旨説明9:35-9:45  コメント① 上原究一(東京大学)9:45-9:50  回答① 小松謙(京都府立大学名誉教授)9:50-10:00  コメント② 井口千雪(京都大学)10:00-10:05  回答② 小松謙10:05-10:15  コメント③ 田中智行(大阪大学)10:15-10:20  回答③ 小松謙10:20-10:30  コメント④ 岩本真利絵(京都府立大学)10:30-10:35  回答④ 小松謙10:45-11:45  全体討論〔第2日〕9月14日(日)午後 特別企画②【一般公開】『中国古典小説のここが面白い!』第2回「研究者、推しキャラクターを語る」日時:2025年9月14日(日) 13:00-18:00開催形式:対面とオンラインの併用対面会場:東京大学本郷キャンパス 国際学術総合研究棟内 文学部3番大教室一般参加者向け申し込みフォームプログラム12:30 開場・受付開始13:00-18:00 発表・質疑応答発表者13:00-14:10 趣旨説明/発表第1部中塚亮(東洋文庫奨励研究員・愛知淑徳大学等非常勤講師):聞仲(『封神演義』)田村彩子(京都府立大学等非常勤講師):孫臏と龐涓(『列国志伝』ほか)千賀由佳(龍谷大学):白蓮岸(『帰蓮夢』)14:25-15:25 発表第2部田中智行(大阪大学):応伯爵(『金瓶梅』)李沫(京都府立大学学術研究員):林黛玉(『紅楼夢』)永井もゆ(日本学術振興会特別研究員 PD):王伯当(『説唐』ほか)15:40-16:40 発表第3部小松謙(京都府立大学名誉教授):石秀(『水滸伝』)佐髙春音(大阪大学):李逵(『水滸伝』)上原究一(東京大学):張飛(『三国志演義』)と尉遅敬徳(『隋唐両朝史伝』ほか)16:55-17:55 質疑応答18:30-20:30 懇親会 ※非会員の方のご参加を歓迎いたします。有料。